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引越し費用は生活保護費から支払われるのでしょうか?
現在、共同生活援助(グループホーム)に入居しているが何らかの理由で別の共同生活援助(グループホーム)に引越しを考えている場合、その引越し費用は生活保護費から支払われるのか?についてご説明します。
今回のお話の前提を、生活保護費を受給しながら共同生活援助(グループホーム)に入居している人を対象にしていますので、そもそも生活保護費を受給していない人はお話の対象にはなりません。ご注意をお願いします。
引越ししたいと考え始めるタイミング
引越しを考え始めるタイミングは人によって様々だと思います。その理由や原因も状況によって様々でしょう。
ここでは実際にあったケースについてご説明します。
Aさんの場合
Aさんは現在の共同生活援助(グループホーム)に入居して3年になります。
入居してから特に不満も感じず平穏に過ごしていました。
週に3回就労継続支援B型に通い、休みの日は近所を散歩したり、自転車で散策したり、充実した日々を送っていました。
その3年間の間に共同生活援助(グループホーム)の他のメンバーとも特にトラブルもなく楽しく過ごしていました。
もちろん、それぞれに事情により共同生活援助(グループホーム)から退去して行ったり、新しい人が入居したりということはありました。
それでも新しい人ともスグに打ち解けることができ仲良く過ごしていました。
しかし、今回入居してきた新しい人は、体も大きくちょっと怖そうな感じの人でした。
ところが実際に話しをしてみるとそんなことはなく非常に優しい人だとわかり、ホッと胸をなでおろしていました。
ある日、利用者全員で食事をしている時、その人が「せきばらい」をしました。
Aさんもその場で一緒に食事をしていたのでその「せきばらい」を聞いていたのですが、なぜか妙に耳に残りました。
その日の夜、布団に入り眠ろうとすると壁の向こうからかすかに「せきばらい」が聞こえてきました。
Aさんはそれがどうしても気になってしまい、その日はよく眠れませんでした。
それ以来、どうしても「せきばらい」が気になってしまうようになりました。
食事をしていても、掃除をしていても、みんなと一緒にテレビを見ていても、その「せきばらい」が気になってしまいます。
そのうち、もしかしたらこの「せきばらい」は自分に向けてわざと「せきばらい」をしているのではないか?と考え始めました。
もちろんその人に「私になにか言いたいことがあるの?」などとは質問できません。
そんなことをしたらその人の気分を害してもっとヒドくなるに違いないと考えていたからです。
そんな日が数日続き、ある日とうとう我慢ができなくなり共同生活援助(グループホーム)のスタッフに相談しました。
「あの人が地獄の底から絞り出したような唸り声を出すんです。もう耐えられません…。」
後日、その人にスタッフが「わざとAさんに対してせきばらいをしていたのかどうか?」をこっそり聞いたそうです。
すると「そんなつもりは全然ありません。せきばらいは私の癖です。わざとなんてとんでもないです。それでもそう感じているのなら直接僕から謝ります」と2人で話をしていました。
その場ではお互いに了解して解決したのですが、一度気になったせきばらいはどうしても気になってしまいます。
自分に向けて発しているわけではないと頭ではわかっていてもどうしても気になってしまい、最終的には共同生活援助(グループホーム)の移動を強く願い、再びスタッフに相談をすることになりました。
引越しの理由は様々です。
上記は一つの例です。
他にも実に様々な理由があると考えられますが、引越しを考え始めた時はまずスタッフへ相談してみてください。
相談支援事業所の担当者でも良いですし、直接障害福祉課に連絡してみても良いでしょう。
もちろん現在通院している病院の先生に相談しても良いでしょう。
一番良くないのは、誰にも話をせずに自分の中にしまっておくことです。
このまま放置しておくと、ストレスばかりが貯まり精神的に良くない状態が続いてしまいます。
クチに出して誰かに相談することで、自分の抱えている問題がハッキリします。
きっと少しは気分も良くなるでしょう。
誰かに相談することで、今後どうしていくか?今後どうするのが良いのか?の方向性が見えてくるかもしれません。
実際に引越しを考えてみよう
では、実際に引越しをするものとして考えてみましょう。
現実に引越しをしようとすると以下のことを考えなくてはなりません。
◆ 引越し先はあるのか?
◆ 引越しの費用はどうするか?
次の移動先に共同生活援助(グループホーム)を考えているのであれば、まずは「入居できるのか?空いているのか?」を確認しなければなりません。
空いていないのに引越しの作業だけ進めても自分の行き場がなくなってしまいます。
他の共同生活援助(グループホーム)に空きがあるのかどうか?を探す場合はこの「り・さーち福祉」で検索すれば簡単に見つけることができます。
無事に空きが見つかり、いよいよ引越しの準備に入るのですが、今度はその際の引越し費用を考えなくてはなりません。
もちろん荷物の量や引越し先までの距離によって必要な金額は変わりますが、安くても数万円単位のお金が必要になってきます。
ご自分の貯金で十分に間に合うのなら問題はありませんが、そんな余裕がない場合もあるでしょう。
そんな時、もし引越し費用が生活保護から出るのならとてもありがたいですよね?
引越し費用は生活保護費から出るのか?
結論から先に言えば、ケース・バイ・ケースです。
「絶対に出る!」とは言えませんし「絶対に出ない!」とも言えません。
先程の例で登場したAさんは、結局生活保護費で引越し費用は出ませんでした。
その理由は
Aさんと生活保護課の担当者が、かかりつけの医師に相談したところ「病状の回復にその引越しが有効ではない」という医師の診断だった。
それを受けて生活保護課は、今回の引越しは個人の願望であり病状回復のためにやむを得ずという状況ではないと判断したから
でした。
もちろんこの診断が必ずしも他の人の場合にも当てはまるとは限りません。各々の状況によって診断も大きく変わると思います。
逆に言えば、上記の場合、医師が引っ越しをして環境を変えることが有効であると診断すれば生活保護費から引っ越し費用が出たことになります。
まとめ
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- 共同生活援助(グループホーム)を移動したいと思い始めたら、自分の中だけでずっと悩んでいるのではなく、まずは相談してみること。
- 相談してみた結果、引越しが必要なれば、「り・さーち福祉」などを利用し次の移動先の確保をすること。移動先が確保できなければ引越しできません。
- 生活保護課の担当者にも相談してみること。相談せずに実行してあとから請求しても担当者が対応に困るでしょう。
- 生活保護費で引越し費用が必ず出るとは限りません。ご注意ください。